地域活動委員長 秋好大樹

2020年1月11日5 分

名古屋6支部30周年記念事業「なごや建築祭」を終えて

 

 今年度、名古屋6支部は設立30周年を迎え、記念事業「なごや建築祭」を開催しました。
 
「継承」をテーマに8月から12月までの期間に渡り、
 
・なごやええとこ絵はがき大賞
 
・建前LIVE
 
・シンポジウム「市民と考える名古屋の未来」
 
・記念式典
 
の複数イベントを開催し、多くの建築士会会員、市民、学生の皆樣に参加いただきました。
 

 周年事業を企画するにあたり昨年度から6支部の会員が集まり会議を重ね、準備をしてきました。
 
この周年事業をどの様に位置づけるのか、誰に向けて行うのか、を議論する中で「内向きの活動ではなく、外向きの活動を」との方針で事業を行うことになりました。

 また平成から令和へと時代が変わる節目の年でもあり、今までを振り返りこれからを考える機会にしたいとの思いから「継承」をメインテーマにしました。


 
 様々な企画アイディアが出てきて何をするのか意見交換を繰り返す中で、せっかくの節目の機会なので何か一つに絞らずに良いアイディアならばまとめてやってしまおう!ということになり「なごや建築祭」の看板を掲げて複数の企画を開催する運びとなりました。
 

 

 「なごやええとこ絵はがき大賞」は、名古屋6支部の地域内にあるお気に入りの場所や残したい風景など、未来に繋ぎたい建築や景観を絵はがきにして市民の皆様から応募していただきました。

 8月1日〜9月24日の募集期間で100点ほど作品が集まり建築総合展、ナディアパークデザインギャラリーで展示を行いました。

 

 CCDO(中部デザイン団体協議会)の山内瞬葉会長を審査委員にお招きし、建築士会柳澤講次会長、6支部支部長とで作品審査を行い、12月1日のシンポジウムの前段で表彰式を開催しました。

 普段見過ごしてしまっている場所や知らなかった場所、あらためてその価値に気付かされた場所、名古屋の様々な魅力を再発見する企画になりました。
 

 「建前LIVE」は、増沢洵氏が1952年に設計した「最小限住居」の実物大の建前を11月23日に若宮大通高架下広場で行いました。

 天候にも恵まれ、建前の他にも「木のジャングルくむんだー」「体験型クイズ」「ベニアドーム」「組子コースター作り」の体験型企画を用意し、多くの方々に参加いただき「継承」を体感する良い機会になりました。

 大工の手によりあっと言う間に組み上げられていく様に会場からは驚きの声が聞かれました。建築がどの様につくられているのか目にする機会が少なくなってきている中で、街中で大工の手仕事による建前を行いその技術を見ていただき、そして上棟後には「餅まき」を行いました。

 技術的な面だけでなく、建築が持っている祭事性や文化的な面にも触れていただきました。当日は増沢洵氏の御子息であり実際に「最小限住居」に住まわれていた増沢幸尋氏にお越しいただき住んでいた当時の話を直接伺うことができました。

 また建築士会連合会の三井所清典会長にもご来場いただき、皆様から高い関心をお寄せいただきました。
 

 「シンポジウム 市民と考える名古屋の未来」は、新しい令和の時代に何を残し、何を伝えていくのか〜私たちの暮らしを取り巻くモノゴトについて考える〜をテーマに12月1日に開催し、建築・技術・文化など様々な面から議論しました。

 ゲストは、建築史家・大阪市立大学准教授で建築公開イベント「イケフェス大阪」等を実践する倉方俊輔氏、INAXライブミュージアムの主任学芸員で東京駅丸の内駅舎のタイル調査・復元等に携われた後藤康男氏、名城大学経営学部教授でトヨタをはじめとする自動車産業・モビリティと暮らしについての研究をされている田中武憲氏、考古学者・とこなめ陶の森学芸員で先史考古学、常滑窯業史を専門にされている小栗康寛氏の4名をお迎えしました。

 第一部ではそれぞれにレクチャーしていただき、第二部ではレクチャーをふまえてのクロストークを行いました。「継承」することは、後ろ向きではなく新しいものを生み、創造していくという考え。名古屋の未来はものづくりから生まれていくであろうが、人々にその自覚が足りていない、その意識をどう「継承」していくかが重要。ITやAIなど革新的な技術が目まぐるしくうごめく今だからこそ、あらゆるヒトモノコトに宿る魂、マインドが大切であるとあらためて考えさせられました。
 

「記念式典」はシンポジウムの後に引き続き行いました。各支部のこの10年の歩みを振り返りつつ、6支部会員の交流を深めることができました。高校生のジャズビッグバンドの生演奏もありはつらつとしたステージに魅了されました。記念式典をもって「なごや建築祭」の全イベントが無事終了しました。


 

 

 お祭りやろうよ!と勢いづいて「なごや建築祭」を開催することになり、そしてその流れの中で実行委員長を務めさせていただきました。

 大役をいただきありがたく思うとともに大きな不安を抱えた一年間でしたが、皆様の多大な協力のもと盛大に無事にイベントを行うことができました。この場をお借りして北支部の皆様、6支部の皆様、ご協力いただいた皆様にお礼申し上げます。


 
 今回の事業では企画毎に支部を縦割りするのではなく、各支部メンバーが寄り合って各企画を横断的につくり上げました。この事に今回の30周年記念事業の大きな意味があったと感じています。会員減少が問題視されるなか、支部の枠組みにとらわれず6支部として何ができるかを考え実践することができました。「

 継承」をテーマに事業を行いましたが、その中で6支部がまさに繋がっていく様子を目のあたりにしました。たくさんの仲間ができました。これからの10年に向けて良いはじまりになったと思いますし、この10年がより充実したものになるよう祈念しています。
 

 各企画の詳しい内容をご覧いただける様に、これから記念誌制作やホームページのコンテンツを充実させていきます 。

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